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高温に負けないイネづくり
~新品種導入に向けての取り組み~

京都府農林水産技術センター農林センター作物部 主任研究員 大橋善之(農学博士)

1、京都府の水稲の作付面積と品種

 面積は、平成24年で15,600haあり、美味しいお米の代表品種である「コシヒカリ」が54%、次いで「キヌヒカリ」が22%、「ヒノヒカリ」が15%とこの3品種で京都府水稲の90%以上を占めています。京都府北部の丹後地域で栽培されている「丹後産コシヒカリ」は、一般財団法人日本穀物検定協会による全国食味ランキングで最高評価である「特A」にランクされています。「特A」評価は新潟県の魚沼や岩船と同じ評価です。しかし、最近の「コシヒカリ」の「特A」評価の中では、「丹後産コシヒカリ」が最も西南に位置し、丹後地域より西南地域で「特A」評価を受けている産地・品種としては、「長崎産にこまる」、「佐賀産さがびより」、「熊本産森のくまさん」等になっています。一時、九州地方の良食味品種の代表として「ヒノヒカリ」がありましたが、近年の気象温暖化傾向により、九州~中国四国地方の「ヒノヒカリ」は米が白濁する白未熟粒の発生によって、品質、食味ともに低下しています。京都産の「ヒノヒカリ」についても、平成22年には、穂が出てから米が稔るまでの期間が高温となり、白未熟粒の発生によって品質が悪くなってしまいました。

2、ヒノヒカリに変わる新たな品種の検索が急務

 この「ヒノヒカリ」と比較して、高温でも品質低下せずに食べても美味しい品種を検索、試作したところ、「にこまる」が最も有望でした。「にこまる」は、「ヒノヒカリ」に比べて収量が多く、食味も良い品種ですが、稲刈り時期がやや遅くなることが欠点です。今後は、京都府内でも「ヒノヒカリ」の作付が多い山城地域や稲刈りが遅くなっても大丈夫な地域を中心に、現地での適応性を調査し、「ヒノヒカリ」に代わる品種として「にこまる」を検討していきます。 一方、「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」に代わる早生の品種も必要です。「コシヒカリ」は丹後地域で「特A」評価を獲得しているため、今すぐに品種を変える必要はありませんが、「丹後産コシヒカリ」は「コシヒカリ」の「特A」評価の中で西南端であることから、将来に向けて「コシヒカリ」にかわる品種の検討も進める必要があります。また、「キヌヒカリ」は作りやすく、美味しいことから南丹地域を中心に作付されていますが、この品種も白未熟粒や穂発芽と言われる稲刈り前から籾が発芽する問題があり、品質低下が著しいことから新しい品種の検索が急務となっています。

3、京都府での適応性について現地試験を通じて次世代の有望品種の研究、検討

農林センターでは「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」などの早生品種にかわる新しい品種として、山形県が育成した「つや姫」や滋賀県が育成した「みずかがみ」等を有望視し、検討を進めています。
また、「キヌヒカリ」よりも稲刈り時期が遅い品種である「きぬむすめ」は、外観品質が良く、美味しいことから有望と考えています。農林センターでは、これら新しい品種の京都府での適応性について現地試験を通じて判断しつつ、安定した収量や食味を実現するための技術開発を進め、品質が良く、美味しい新品種の導入を図りたいと思っています。

 

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